村山 顕人

Akito Murayama

サブテーマリーダー

東京大学/大学院工学系研究科 都市工学専攻

現状分析や将来予測を行い、多様な主体の意向や活動を理解しながら、都市の空間形成にかかわる計画を立案するプランニングの研究・実践に取り組んできた。本プロジェクトでは、地域の土地利用・市街地環境への気候変動影響予測と持続的再生方針の検討と評価を行い、自治体都市計画や地区まちづくりへの実装を目指す。専門は都市計画。

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概要

国際連合が2015年に提唱した「持続可能な開発目標」の一つとして、「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことが掲げられている(SDG11)。本研究では、将来的な気候変動に伴って見込まれる都市環境の高温化、風水害の激甚化などが我が国の土地利用・市街地環境へ及ぼす影響を予測し、それらに適応するための複数のシナリオ(持続的再生方針)を検討・評価する。これに際しては日本全国から自治体・地区スケールのケーススタディ対象を選定して空間的な分析を実施し、気候変動影響を定量的に予測するためのモデルを開発することを試みる。さらに、適応シナリオを策定するための検討・評価プロセスを一般化し、それらを自治体の都市計画や地区のまちづくりにおいて実践的に活用するための方法論を提案することを最終目的とする。

気候変動に適応する都市づくりの例(名古屋市みどりの基本計画2030(案)より)

目標

  • 将来的な気候変動が地域の土地利用・市街地環境へ及ぼす影響のモデル化
  • 都市計画の観点における気候変動適応シナリオの検討・評価
  • 適応シナリオの検討・評価プロセスの一般化と都市計画への実装方法の提案

研究対象と計画

都市計画基礎調査をはじめとした各種統計データを収集・整理し、空間情報システム(GIS)や数値流体力学(CFD)などのソフトウェアを活用することで気候変動の影響を空間的に分析する。適応シナリオの検討・評価においては、気候変動に対して先進的な取り組みが行われている自治体や地区をケーススタディ対象とする。

想定している適応策

  • 暑熱:グリーンインフラの導入、土地被覆・建築被覆の変更、住宅・オフィスの建築性能の向上
  • 水害:雨水管・雨水貯留浸透施設の整備、貯留池・遊水池の設置、グリーン・ブルーインフラの導入、市街地再配置の検討、建築・生活の適応化
  • 土砂災害:土砂災害防止施設の整備、市街地再配置の検討
  • 風害:強風を促進させる建物配置の回避
  • エネルギー消費:スマートグリッドの導入、住宅・オフィスの建築性能の向上
  • 生物多様性:グリーンインフラの導入、生態系の監視・保護
  • 感染症:オープンスペースの活用によるフィジカル・ディスタンスの確保、歩行者・自転車を優先した道路空間再配分