風間 聡

So Kazama

サブテーマリーダー

東北大学/大学院工学研究科

気候変動による日本全国の水害の被害額や適応策の効果の研究を行ってきた。気候変動と併せて地方の人口減や土地利用の変化などの影響の評価も行っている。水害に対する複数の適応策のシナジー効果や適応緩和策の評価手法の開発を目指す。専門は、水文学、河川工学、水資源工学。

Profile Picture

概要

本研究は、1)外水洪水氾濫(東北大学風間聡,峠嘉哉)、2)内水洪水氾濫(福島大学川越清樹)、3)リモセン班(茨城大学桑原祐史)、4)河道計算班(富山県立大学呉修一)の4班に分かれて実施する。CMIPで整備された全球データの統計的ダウンスケールを実施し、この降雨データにもとづき、外水洪水氾濫と内水洪水氾濫の両班が、物理モデルを日本全国に実施する。4)班が提供する詳細な河道計算によって広域モデルのパラメータ同定を行う。さらに他サブ課題からの土地利用や人口のS-18将来共通シナリオを利用し、洪水被害額を推定する。適応策について、近年、研究の進展著しい農業セクターの田んぼダムやため池の適応策と、地方で問題となっている河道の樹木の伐採と河道掘削について評価を行う。農業利水施設の治水利用を考察するには、サブテーマ(4)の水資源分析との協働が不可欠である。近年はモバイル携帯によるゲートの遠隔操作や水利施設情報の集約が進んでいる。システム解析による最適なゲートの運用が可能となりつつあり、事前放流や貯留も実施しやすくなった。モデルによる洪水氾濫被害額に基づき、ため池などの農業利水施設や水田の田んぼダムの理想的な管理による適応策をサブテーマ(4)班とともに、その効果を求める。河道掘削はもっとも利用される治水能力向上の施策であるが、この効果ならびに河道樹木の伐採の評価を行う。特に河道樹木は、近年バイオマス燃料として利用されつつあり、国土交通省の山形河川国道事務所の実例がある。3)班がリモートセンシングによる全国の河道バイオマス量の推定を実施し、繁茂している地域や増加量の激しい地域を特定する。このデータにより河道伐採による洪水軽減の適応策の効果と、獲得バイオマスによる緩和策の効果を求める。これらのクロスセクターの適応策と、緩和策を併せ持つ適応策の両ケースについて日本の適応ポテンシャルを求めることが本研究の最終目的である。

図 洪水適応策評価の枠組み

目標

詳細な地図情報を用いて河道からの洪水氾濫と内水氾濫を区別して洪水被害金額を求めるとともに、複数の適応策の効果を評価する。適応策として、1.農業利水施設の高度利用、2.河道掘削ならびに樹木伐採、を具体的な政策として評価を行う。農業利水施設については同班サブテーマ(4)の利水施設の結果を共有し、その相乗効果を示す。また、樹木伐採については、バイオマス燃料の利用による緩和策の効果を含んだ相乗効果を定量的に示すこととする。これらを通じて、一石二鳥適応策について考察を行い、その効果を発信する。

研究対象と計画

研究は4班に分けて外水氾濫解析班(風間、峠(東北大))、内水氾濫解析班(川越(福島大))、河道樹木バイオマス推定班(桑原(茨城大))、河道土砂樹木モデル班(呉(富山県大))の4班に分かれる。マルチGCM、マルチシナリオの計算実験を行い、適応策を考察することを目指す。その具体的な作業として、

  • 詳細な地図情報を用いた河道からの洪水氾濫(外水氾濫)シミュレーションを実施
  • 同様に内水氾濫のシミュレーションを実施
  • 外水、内水氾濫の洪水被害金額を推算求め、この手法をもとに適応策の効果を評価
  • リモートセンシングを用いた河道植生モデルの開発
  • 河道植生による河道シミュレーションの粗度の計算
  • 河道植生伐採の被害額低減効果を推算
  • 河道植生伐採の緩和策の効果を評価
  • 河道掘削による被害額低減効果を評価
  • 利水施設の被害額低減効果の評価
  • 田んぼダムの有効地域の特定
  • 土地利用規制、建築条件などの洪水対策の効果を概算

を実施する。各適応策についてS18共通シナリオを用いて将来展望を行う。

想定している適応策

  • 河道植生伐採
  • 河道掘削
  • 土地利用規制(集団移転、ピロティ化など)
  • 利水施設の利用(ため池など)