森 信人

Nobuhito Mori

サブテーマリーダー

京都大学/防災研究所

日本だけでなく全球を対象に、気候変動の台風や風水害への影響研究を行ってきた。本プロジェクトでは、サブテーマ3(2)
のとりまとめを務め、2025年の気候変動影響評価に向けて、気候変動の沿岸保全への影響と「賢い」適応策のあり方について社会実装を踏まえて提案する予定である。専門は気候変動影響評価、海岸工学。

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概要

我が国の沿岸域における全国的な沿岸ハザードの影響予測と沿岸域の影響評価・適応策のプロトタイプの構築を目標とする.これを達成するための以下の3項目により研究を実施する.

  1. 沿岸ハザード影響予測
  2. 自然海岸等への影響評価
  3. 適応策プロトタイプの提案

項目1では,海面上昇,高潮,波浪の沿岸ハザードの影響予測を発展させ,適応策の評価に必要な将来変化を全国評価するとともに代表エリアにおいて湾スケールで定量的に評価する.研究を効率的に進めるため,先行研究の成果を取り込みつつ,波浪については湾スケールまでダウンスケールする手法を開発し,影響予測を実施する.高潮や海面上昇についても可能な限り同様に評価を実施する.

項目2では,自然海岸の中で気候変動の物理的影響が大きい砂浜海岸と経済的影響の大きい人工海岸の港湾域を対象に影響評価の検討を行う.自然海岸については,申請グループが保有する全国砂浜海岸データベースをもとにした全国的影響評価と幾つかの代表海岸を対象とした力学的モデルによる詳細な影響評価を行う.人工海岸については,全国の防波堤・防潮堤の位置・高さをDB化して全国的な影響評価を行うとともに,代表港湾を対象に港湾施設毎の詳細な浸水脆弱性評価を行う.これと並行して,サブテーマ(1)と共同して経済的価値についても評価を行う.

項目3では,項目2をもとに砂浜と港湾施設の将来変化予測と工学的適応策の効果について,幾つかの代表的な工法を対象に将来変化とその予測不確実性に対応する適応策のオプション,適応時期の最適化についてのプロトタイプを提案と経済評価を実施する.

図1:サブテーマの全体構想

目標

我が国の沿岸域全体をカバーする沿岸ハザードの影響予測とこれを考慮した沿岸域の影響評価とこれに対応する自然海岸および人工海岸における適応策のプロトタイプの構築を最終目標とする.

研究対象と計画

自然海岸および人工海岸である.海面上昇,高潮,波浪の沿岸ハザードの将来予測について,先行研究のデータをDB化する.海浜変形を計算するモデル開発し,砂浜に対する影響評価と適応策の効果を検証する.影響評価および適応オプションのために港湾域の類型化し,港湾域における工学的適応策を検討する.得られた結果をまとめ,砂浜および港湾域の適応策についてのプロトタイプを提案する.

想定している適応策

  • 海岸構造物による対策
  • 養浜・サンドリサイクル
  • 機械設備のアップデート
  • 地盤の嵩上げ
  • 防波堤の嵩上げ