第8回 S-18セミナーを開催しました:気候変動による天然水産資源への影響と日本の対応-これからの海と社会の変化に向けて-(開催報告)
S-18研究プロジェクトでは、一般の皆様も交えて広く気候変動問題を考えることを目的にシリーズでS-18セミナーを開催しております。第8回目となる今回は、本プロジェクトにて、サブテーマ2(4)のリーダーを務める木所英昭氏 (水産研究・教育機構)をお招きし、気候変動による天然水産資源への影響についてお話いただきました。実施報告は下記の通りです。
◆ 開催日時
2023年7月7日 (金) 10:30-11:50 (最大延長12:00まで)
◆ タイトル
「気候変動による天然水産資源への影響と日本の対応-これからの海と社会の変化に向けて-」
◆ 講 師
木所 英昭氏 (水産研究・教育機構 水産資源研究所)
◆ 概 要
本セミナーでは様々なスケールの海洋環境の変化が与える天然水産資源と漁業への影響をご紹介いただくと共に、今後の気候変動や社会の変化がもたらしうる影響と適応を考えます。
◆ 報 告
今回のセミナーでは、1) 日本の水産業と食生活の変遷、2) 水産資源の増減と気候変動の関係、3) 水産業の適応をどのように考えるか、についてご紹介頂きました。
かつて、日本は世界一の水産国であったが現在では9位であること、これには日本人の食生活の変化、水産物の価格高騰などが関わっていることが紹介されました。水産物の自給率は59%であり、魚の消費量が減っているのは日本のみだとのことです。
水産資源の増減には「魚種交代」「海の温暖化」「局所の要因」が関わっており、前の二つを分離して分析することは難しいこと、技術開発と漁場開発により影響を抑えようとしてきたことなどが紹介されました。近年、海水温が上昇し北海道がブリの産地となっていること、海流パターンの変化によりサンマの好漁場が日本沿岸から遠くなったことなど、海洋変化による影響はプラスにもマイナスにもなり得るとのことです。
水産業は消費者があってこそ成り立つもので、気候変動に適応するには漁業者のみならず市民も協力する必要があると説明されました。獲れる魚に応じた調理方法の普及、販路の開拓など、ビジネスの観点からの対応が重要になるとのことです。
質疑も活発に行なわれ、ご参加の皆様の関心の高さがうかがえました。
◆ 当日の資料
◆ 問合せ先
S-18プロジェクト事務局(茨城大学水戸駅南サテライト)
電話番号:029-297-3152 / E-mail:info[at]s-18ccap.jp ※[at]を@に置き換えてください。