第13回 S-18セミナー:洪水氾濫への適応に向けた流域・地区スケールでの取り組み-流域治水の課題と今後の展望、シナジー効果への期待-(開催報告)
S-18研究プロジェクトでは、一般の皆様も交えて広く気候変動問題を考えることを目的にシリーズでS-18セミナーを開催しております。第13回目となる今回は、本プロジェクト、サブテーマ3(3)のメンバーの富山県立大学の呉 修一氏をお招きし、これからの流域治水の取り組みについて、解説していただきました。報告と当日の資料を以下に掲載いたします。
◆ 開催日時
2024年11月15日 (金) 10:30-11:50 (最大延長12:00まで)
◆ タイトル
「洪水氾濫への適応に向けた流域・地区スケールでの取り組み-流域治水の課題と今後の展望、シナジー効果への期待-」
◆ 講 師
呉 修一 氏 (富山県立大学)
◆ 概 要
気候変動に伴う豪雨の増加により、河川洪水氾濫や都市内水氾濫の被害が頻発しています。洪水氾濫ではd4PDFデータセットなどを用いた洪水への影響評価が日本全域で実施されており、田んぼダムなどの様々な適応策が流域スケールで、また内水氾濫では地区スケールで検討されています。このように多くの地域で流域治水が推進され、その課題や今後の期待が明らかとなりつつあります。
本セミナーでは、これら流域治水の取り組みについて、富山県での解析事例を中心に述べるとともに、生態系やDX、都市計画とのシナジー効果など、今後の展望についてご紹介します。
◆ 報 告
セミナーでは流域治水をキーワードに富山県での様々な取り組みについてご紹介を頂きました。
富山県の河川は急流であり、出水時の浸食が激しく、治水対策が難しいことの説明がありました。越水がなくても破堤することがあること、平均年最大流量程度の大きくない出水規模でも破堤し得ることなど、急流河川の実態紹介がありました。
将来の降雨の増加に備えるための河道樹木伐採、田んぼダム整備などの効果の評価結果が示されました。流域、河道などの状況により大きな効果を期待できる場合、効果の期待が難しい場合などの解説があり、急流河川ならではの難しさを理解できました。
富山県の人口減少は急激に進んでおり、街づくり、住まい方などを考えて治水を進める必要性の指摘がありました。富山市ではトラムを軸とするコンパクトシティ化が注目を浴びていますが、浸水に警戒を要する地域と重なっており、今後の経済活動、日常生活を続けるための創意工夫が必要であるとのことでした。
最後に流域治水は by All で取り組むものであり、市民の方々の意識の向上、協力などを仰ぐことが重要であり、実際に率先的な役割を果たしている方の活動紹介がありました。
質疑も活発に行なわれ、ご出席の皆様の関心の高さがうかがえました。
◆ 当日の資料
◆ お問 い合 せ先
S-18プロジェクト事務局(茨城大学水戸駅南サテライト内)
電話番号:029-297-3152 / E-mail:info[at]s-18ccap.jp ※[at]を@に置き換えてください。