第10回 S-18セミナーを開催しました:イベント・アトリビューションの最前線ー暑かった2023年を例にー(開催報告)

 S-18研究プロジェクトでは、一般の皆様も交えて広く気候変動問題を考えることを目的にシリーズでS-18セミナーを開催しております。第10回目となる今回は、東京大学大気海洋研究所の今田由紀子先生をお招きし、イベント・アトリビューションの最前線から「暑かった2023年」について解説していただきました。報告と当日の資料を以下に掲載いたします。

◆ 開催日時
2024年2月5日 (月) 13:30-14:50 (最大延長15:00まで)

◆ タイトル
「イベント・アトリビューションの最前線-暑かった2023年を例に-」

◆ 講  師
 今田 由紀子氏 (東京大学大気海洋研究所 准教授)

◆ 概  要
 「地球沸騰化」という言葉が話題になった2023年は、日本でも世界でも異常な天候が相次いで起こりました。日本では7月、8月、9月の気温が連続して過去の記録を大きく上回り、猛暑地点数が2018年(「災害級の猛暑」の年)を上回って過去最多となりました。世界では、7月に北米南部、ヨーロッパ、中国で相次いで記録的な熱波となり多くの犠牲者と経済的損失が出ています。このような極端な高温の傾向は、世界平均気温にも現れており、過去の統計を大幅に塗り替えて記録を更新しました。イベント・アトリビューションは、このような極端な気象・気候に対する地球温暖化(もしくはその他の外部強制・自然強制要因)の影響を定量化する手法であり、日本では特に高解像度化や迅速化に力が入れられ、発展し続けています。本セミナーでは、イベント・アトリビューション研究の最前線から「暑かった2023年」を解説します。

◆ 報  告 
 セミナーでは、1) 近年の日本と世界の気温、海水温、豪雨の状況、2) イベント・アトリビューションの手法概説、3)イベント・アトリビューションによる2023年高温の評価、4) 気候変動問題におけるイベント・アトリビューションの活用、についてご紹介頂きました。
 イベント・アトリビューションでは、a) 現在の温暖化が進行している気候下、b)温暖化の効果を除いた仮想的な気候下、の数値シミュレーションをそれぞれ多数行い、a) と b)の差異を統計的に調べます。これにより、偶発的事象(自然のゆらぎ)と温暖化による影響を分離し、観測された異常気象の出現し易さ(確率)を評価します。2023年の高温については、約1.65%の確率で出現する異常気象(50年に1回出現するのよりも低い確率)であったこと、これは温暖化がなかった場合には発生しなかったものと分析されました。また、イベント・アトリビューションは農業(被害評価,収量予測)・健康などの分野にも適用できること、気候変動の影響を実感可能なデータとして示して問題解決を促せることなど、様々な発展的な応用があることも紹介されました。
 質疑も活発に行なわれ、ご出席の皆様の関心の高さがうかがえました。

◆当日の資料



◆ 問 合 せ 先
 S-18プロジェクト事務局(茨城大学水戸駅南サテライト)
 電話番号:029-297-3152 / E-mail:info[at]s-18ccap.jp ※[at]を@に置き換えてください。