第7回 S-18セミナーを開催しました:発電する地域の林業者:信州ウッドパワー・信州ウッドチップ(開催報告)
S-18研究プロジェクトでは、一般の皆様も交えて広く気候変動問題を考えることを目的にシリーズでS-18セミナーを開催しております。第7回目となる今回は、陰山恭男氏 (トヨタUグループ)(前・信州ウッドパワー・信州ウッドチップ社長、清水建設)をお招きし、長野県東御市に建設されたバイオマス発電所「信州ウッドパワー」についてご紹介いただきます。どなたでもお申し込みいただけますので、多くの皆様のご参加をお待ちしております。下記、参加申し込みよりご登録いただくと参加方法(Zoomミーティング)をご案内いたします。
◆ 開催日時
2023年2月17日 (金) 15:30-16:40 (最大延長17:00まで)
◆ タイトル
「発電する地域の林業者:信州ウッドパワー・信州ウッドチップ」
◆ 講 師
陰山 恭男氏 (トヨタUグループ)(前・信州ウッドパワー・信州ウッドチップ社長、清水建設)
◆ 概 要
2020年7月、長野県東御市に建設された木質バイオマス発電所「信州ウッドパワー」が発電を開始しました。今回のセミナーではプロジェクトのリーダーを務めた陰山恭男氏より、プロジェクトのきっかけ、サイトの選定、集材とトレーサビリティ、発電所規模の設定などについてご紹介いただきます。発電量は2MWと小規模ですが、小規模であることの必然性、循環型社会実現へのチャレンジ、そしてそれを支える森林を整備し、山を育てる林業者という心意気をお聞かせいただく予定です。
◆ 問合せ先
S-18プロジェクト事務局(茨城大学水戸駅南サテライト)
電話番号:029-297-3152 / E-mail:info[at]s-18ccap.jp ※[at]を@に置き換えてください。
◆ 報 告
セミナーでは長野県東御市に建設された木質バイオマス発電所「信州ウッドパワー・信州ウッドチップ」についてご紹介頂きました。
・日本の各地に出向き、樹の種類、森林組合の状況などを調べサイトを選定した
・サイトを長野県東信地区(上田、東御、佐久、軽井沢など)とした理由は、木造ビル建築に用いられるカラマツが多いこと、燃料として製材に利用出来ない木材・間伐材・マツクイ被害を受けたアカマツ等、これまで行き場のなかった木を発電所を中心とする30キロ圏内で確保できる見込みがあったこと
・木材を提供頂く森林組合から信頼を得て協定を結ぶまでに数年を要したこと
・発電所は景観、騒音に配慮した設計としたこと
・プラント規模を大きくすることが発電効率の面で有利であるが、燃料を地域で確保することを考え出力を抑えた1.9 MWとしたこと
・違法伐採、建設廃材などを受け入れないために、購入する木材の搬入経路を記録するシステムを構築したこと
・植林・伐採のローテーションを助ける、皆伐した時の廃材処分先となり得る、マツクイムシの被害を受けた木を燃やせるなど、新たな価値を与え発電所は林業に貢献していること
以上、多岐にわたる検討を経て、実際に売電するまでの経緯を大変分りやすくご説明頂きました。活発な質疑があり、ご参加の皆様の関心の高さをうかがえました。
◆ 当日の資料